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めっちゃ留年してる大学生のブログ

読書メモ:『結婚と家族のこれから』

 結婚や恋愛にどう向き合おうか、あるいはそういった関係性から自由な生き方はできるのだろうか……みたいなことをぼんやり考えていたので、第五章の「親密性(家族、友人関係、恋愛関係、同性などを含む広い概念)」に関する話が特に興味深かった。僕は基本的には「『脱カップル化』の親密性」を志向しているのだけれど、今いる友人たちと関係は、彼らの地理的な移動や結婚によって、断ち切られないまでも弱まってしまう。新しい長期的な人間関係(恋愛であれ友人であれ)を絶えず作り続けるくらいの気構えでいたほうがいいのかもしれない。

 また、長期的な人間関係における親密性の特徴として『特別扱い』と『パーソナルさ』が挙げられていて、漫画『ヴィンランド・サガ』や『愛すべき女たち』にも似たような考え方のキャラクターが登場していたなあ、と思い出した。愛とは差別なのだ。

 

 

その他、気になったポイント

・育児や介護といったケア労働は、コストを下げるのが困難である(サービスの受け手に対するパーソナルな対応が必要、サービスの提供者はサービスを提供する場所に「いる」必要がある、技術が発展しても労働量があまり減らないetc)。共働き社会においてケア・サービスを十分に提供するためには、アメリカのように国内外の所得格差を利用した民間サービスに頼るか、北欧社会のように税負担を高くして公的雇用を増やすか、二つの方向性が考えられる。

 

・共働き社会においては、男性でも女性でもより稼ぎのある相手と結婚するのが合理的となるため、同類婚の傾向が強化され、片働き社会と比べて世帯間の所得格差が拡大する。

 

結婚と家族のこれから 共働き社会の限界 (光文社新書)

結婚と家族のこれから 共働き社会の限界 (光文社新書)

  • 作者:筒井 淳也
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/06/16
  • メディア: 新書